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コミュニケーション


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どうしても、自分が醸造責任者であるのがビールですから、ビールの記事が多くなっちゃうのですが、ぼくはもちろん日本酒蔵の経営者です。

でも、酒づくりがはじまっても、杜氏に、

「どう?」

とは聞くものの、毎日そばにいって、酒をきいて、あれやこれやをいったりはしません。

いい加減な訳ではありません。むしろ、どうなっているか、ものすごく気になっています。でも、途中で余計なことは言わないことにしているのです。

なぜか。

それは、ぼくが杜氏を「ものをつくる人間」として信用しているからなのです。

いいものをつくるうえで、人の意見を素直に聞けるということは、とても大事なことです。でも、嗜好品をつくる人間は、最後の判断に関しては自分で責任をもたないといけません。でも、それを、周りの人間、それも経営者が、箸の上げ下げまで口を出して、ゆがめてはいけないと思うのです。

「あんたの会社だ。僕は違うと思うけど、そんなにいうなら、それでいいよ」

もし、そんなことなら、自分でつくるべきです。

ぼくも、自分でビールをつくっていて、すごく悩みますし、たくさんのひとに意見を聞きます。でも、最後の判断は、自分でしています。正しいかどうか、すごく不安に思いながら。

いいものをつくるには、それをつくる人間にまかせてみる、責任を感じさせる、怖いと思わせることが必要だと思っています。もちろん、うまくいったら、すごくほめることも。

とはいえ、どんな酒をつくって欲しいかに関しては、ぼくの希望は伝え、納得がいくまで話します。でも、あくまでもそれは「つくり」が始まる前にです。

酒屋(だけではないでしょうが)の難しいところは、ぼくがいいと思う酒のイメージが、本当につたわっているかわからないことです。

できるだけ、ことばで伝えようとしますが、やっぱりいろんな酒を飲みながらら話すのが、一番かなとも思います。

と、ついつい前置きが長くなりましたが、写真の酒。

今シーズン、新しい試みとして取り組んだ酒です。イメージが伝わったか、どきどきしながら飲むわけです。

完成品を通じた(決して長くはない)会話が、次の(年の)酒につながります。すごく限定されたコミュニケーションです。

でも、そんな酒をのんで、思いが伝わったと感じることができて、すごくうれしかったりするのです。

今みたいに。
23:59 | 縁喜 / NEW ENGI | comments (3) | trackbacks (0) | edit | page top↑
情報量と感動の度合いについて | top | バレンタイン

comments

先日の長野出張、駅前のデパートで縁喜を探したら1合の純米吟醸(美山錦)があり、買って帰りました。

なんだかんだで初めてじっくり味わう縁喜。

凄いと思いました。
端麗辛口もいいのですが、今私が心からおいしいと思える清酒はこの感じです。
CMのコピーで『旨いは甘い』というのがありましたが、正にそれ。
ミヤマブロンドに感じるほのかでありながら深い上品な甘味を感じました。
これが美山錦の味なんですかね?山田錦とは確かに違うような。
純米の吟醸っておいしく造るのが難しいイメージですが、素晴らしかったです。
きっと他の酒も旨いのでしょう。
通販があまり好きじゃない私ですが、今後考えないといけないと思いました。
RIN | 2009/01/30 08:50 | URL [編集] | page top↑
カッコイイですね!

今日の日記を読んでたら、
クレイジーケンバンドの「男の滑走路」が
脳内で鳴っています(笑)
16G | 2009/01/30 11:28 | URL [編集] | page top↑
>RINさん

いろんなとこで売ってなくてすみません。 

でも、志賀高原ビールも縁喜も、共通点は多いと思っていますので、よろしくお願いします。

>16Gさん

「男の滑走路」、タイトルってあんまり覚えていないので、つい調べちゃいました。

ぼくも、

「人を笑わせる男になりたい」です。

べつに、「人を泣かせてきた」訳ではないですが。ねっ、轟君。
ego-brewer | 2009/01/30 20:25 | URL [編集] | page top↑

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