2010年 02月
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02/28/2010(Sun)
高い目標

春の気配を感じるようになり、BCリーグの開幕も楽しみです。
この平成の星一徹。
なにも、「大リーグボール養成ギブス」を強制したわけではありませんが、本当に息子さんと一緒に夢に向って二人三脚で長年頑張ってきました。
まだ小さかった三宅投手を、現在の信濃グランセローズの公式練習場でもある中野市営球場のホームベースに立たせ、
「あのバックスクリーンまで届く球が投げられたらプロになれる」
と教えたそうです。
ぼくはこの話が、好きです。
特に野球の強豪チームがあるわけでもない田舎のまちで、まだ小さい息子に、本当にプロという高い目標を具体的に意識させて、実際それにむけて努力をする。
なかなか出来ないと思います。
「どうせ出来っこない」とか、「そんなこと言ったら笑われる」とかじゃなくて、本当に「やろうと思う」ってすごいことです。
だって、やろうと思わなきゃ、なんにも出来っこないんですから!
02/26/2010(Fri)
やっぱり笑顔でしょ!

玉村本店にも、いろんな会社の営業の方が来てくれるのですが、最近は不景気で冴えない話ばかり。
いつも、
「なにかいい話ないですか?」
と聞いてみるのですが、だいたい、
「ないですねぇ~」
とか、
「だめですねぇ~」
とかいう反応ばかり。
でも、どんな時でも、気持ち次第でいい話、楽しい話はあるものです。
写真は、長年お世話になっている醸造機会屋さんのZさん。
いい笑顔でしょ。
やっぱり、こういう人と話しているとうれしくなります。
02/24/2010(Wed)
この「うれしさ」はうれしいのか?

泥縄ってわけでもないのですが、今日は山伏の仕込。
5時に工場のシャッターを開ける際には、満天の星空。すごくきれいでした。
普通、2月にこんなに晴れていたら放射冷却で寒いはずが今日は全く快適。
それほど暖かい日でした。
今日の仕込、実は山伏シリーズに取り組んで以来、いまだ未解決の、ある技術的課題にたいする解決策を試みる日です。
うまくいくのか、その解決策が正しいのかどうか、ドキドキです。
この新プロジェクトを始めて以来、何度もこういう状況に直面しました。
もちろん、こんなことがなくて最初から問題なくいった方が精神衛生上もいいのですが、そういうわけにはいかないわけです。
で、夕方。
仕込はばっちり。
問題の課題も、どうもクリアできたようです。
本当にうれしいです。
このうれしさ。
最初から問題がないと経験できないわけで、これはこれでいいですね。
なんて、解決できた今だから言えるわけで、本当はどっちなんだろう?
結果が逆だったら苦しむ日がずっと続くわけですから。
でも、苦しんだ後のうれしさを経験出来るのは、悪くないなあと思う今日なのでした。
02/23/2010(Tue)
休肝日のビール!?

発売はまだ先ですが、キリンから休肝日に飲むビール風飲料がでるそうです。
アルコールゼロはもちろん、しじみに含まれる成分まで入っているそうです。
なんとも、マーケティングとはすごいものですね。
世の中の健康志向の高まりに応えてということですが、はたして、こういうのを飲むのが本当に健康にいいのかどうか。
資料によると、ターゲットは「休肝日取得意識のある40代から50代のビールファン」だそうです。
ターゲット年齢ど真ん中ではありますが、ぼくなら、面倒だけどどうせならしじみエキスではなく、しじみ汁を飲むけどなあ。
で、やっぱり酒を飲んじゃうなあ。
メンタル面もふくめると休肝日なしが健康だと感じるぼくは、酒で殺菌するんだと信じて休肝日が不健康と考えるたかしくんと全くの同類です。
でも、そんな僕らと関係なく、こういう商品、売れちゃったりするんだろうなあ。
02/22/2010(Mon)
まさかの売り切れ

果たして売れるのかと、緊張しながら発売しておよそ二週間。
おかげさまで大好評の、山伏 壱 saison one ですが、最初の仕込分の約1,000本が売り切れてしまいました。
750mlという通常とは違うサイズのみでの販売なので、売れたとしてももう少し時間がかかると予想していたのですが、想定外の早さ。
うれしい誤算です。
前にも書いた通りこのビールは、限定ビールではなく、最初から定番として育てていこうと思っています。
今まで、志賀高原ビールの定番のボトルは、一度も欠品させたことがありません。
ところが、今回はさすがにどこまで売れるか読めませんでした。ごめんなさい。
二仕込目は、瓶詰めは終わっているのですが、まだ最終の熟成中。
多分、三月初めくらいには販売再開できると思うのですが、しばらくの間の欠品、ご迷惑おかけします。
心配なのはその先です。三回目の仕込はまだなのです。
まあ、今回は「最初だからとりあえず飲んでみよう」的な要素も大きいかと思うので、次回以降はここまで早く売れないと思うのですが、それにしても売れ行きによっては今回以上に長期の欠品の可能性も。
安定してご提供できるように、しばらくは試行錯誤が続きそうですが、何卒ご容赦ください。
02/21/2010(Sun)
スーパードライな瞬間

リアルエールフェティバルが終わってち上げまでの間、何人かのブルワー仲間と一緒に、すぐ近くのハーモニックさんへ。
アサヒビールのグループ会社であるこちら。
みんな、迷わず注文したのはスーパードライ。
ふと、先に着いていた他ののブルワー達のテーブルを見ても、みんな一様にスーパードライ。
イベントでちょっと疲れた後の、丁寧に注がれた一杯。
やはりうまいのです。
皆、大手メーカーのビールとは全く違う、自分達なりのビールを追求しているのですが、やはりこれはこれで日本を代表するビールであることは間違いありません。
「新ジャンル」なるもの全盛の時代、看板ビールに徹するという姿にも、ある意味共感を感じます。
世界と戦う「ユニクロ」と、手作業のまちの小さな洋服屋くらいの違いはありますが。
02/20/2010(Sat)
ノルウェーからの便り

またまた登場のKjetilさん。
写真は、昨年うちの酒蔵で酒づくりを勉強していった時のもの。
その彼から、今日メールが。
ノルウェーでの酒づくりが順調にすすんでいるとのことです。
こちらをみていただきたいのですが、日本からの米も届き、酒づくりがいよいよはじまったのが先月の終わり。
ビール工場の一角を「日本酒蔵」に。
麹室なんて、結構格好いいです。
Kjetilさんらしいところは、いきなり山廃での仕込に挑戦しているということ。
いい感じに酛が仕上がったようです。
話を聞きつけたノルウェーの日本大使館からもコンタクトがあったとか。
どんな酒になるのか、本当に楽しみです。
上記 Nogne O のサイトの写真にもありますが、酒米と一緒の船にのっていった、うちのを含む日本のクラフトビールもノルウェーに到着しています。
北欧のひとたちが、志賀高原ビールをどう感じるか、とても気になります。
どうも、今のところは好評のようで、ひと安心です。
02/19/2010(Fri)
空の表情(失敗例)

空の表情って、気になるのです。
だから、走りながらパチリ。
ぼくは、「三脚をたててじっくり」とは正反対のタイプだと思います。
これなんか、入ってったフィルムを忘れてたせいもあって、完全な露出オーバー。
でも、雰囲気はあったりして。
運転には気をつけます。
はい。
02/18/2010(Thu)
やっぱり穴は大きかったのです。

昨日は、会社の歓送迎会。
酒の席でリラックスしたのか、杜氏がぽろっと
「今年は、しんどかったですよ」
と、本音をもらしました。
何がというと、今シーズンの仕込のこと。
昨夏に、15年間も酒づくりをささえてくれたO君が、ご家庭の事情で会社を去ったのですが、やはり彼の抜けた穴が大きかったのです。
人数的には、毎年と一緒ですし、幸い、強力助っ人Nさんにも大活躍してもらったのですが、やはりO君は長年右腕として働いてくれて、かなりの部分をまかせていたわけで、その分をカバーするために、普段は口にしないものの相当の苦労があったようです。
幸いというか、さすがというか、酒の方は順調に仕上がってきていますが、杜氏の負担を少しでも減らして、いい酒をつくることに充分集中できるように、ぼくもしっかりバックアップしなくてはと思ったのでした。
といっても、やはり経験というものは一朝一夕には身につかないわけで、みんなで毎年頑張っていく以外に、簡単な解決法もないのですが。
02/17/2010(Wed)
昨日の勉強会

前も書きましたが、日本にいながらいろんなビールが手に入るようになったものです。
ほんのちょっと前まで、Sierra Nevada や Bridgeport とかでも珍しいくらいだったのに、今ではより小規模の醸造所のものや、話題の会社のIPAなどが、簡単に揃っちゃいます。
ホップの品種や、バランスなどについて、みんなで、あーだこーだーいいながらの試飲。
刺激にもなるし、自分たちのIPAの位置を確認する上でも役立ちます。
勉強、勉強。
02/16/2010(Tue)
雪のホップ畑

ホップが育ち始めると、いてもたってもいられずに毎日足を運ぶホップ畑も、さすがに雪がふるとごぶさた。
昨日、海外からのお客様を案内に、ひさしぶりに行ってきました。
みんなで長靴にはきかえ、ときどき膝まで沈みながら5分ちょっと。
すべてが雪の下で、あんまり見てもらうものもないのですが、気分はいいです。
手前の真っ白な部分に、新しい畑をつくる準備を、たかしくん中心にはじめています。
02/15/2010(Mon)
リアルエールフェスティバル

日曜日の東京リアルエールフェスティバル。
いろんなビールが飲めたり、たくさんのみなさんとお話できたり、相変わらず刺激になりました。
足を運んでいただいた皆さん、ボランティアと主催者のみなさん、どうもありがとうございます。
さて、わが Not So Mild Ale。
先日書きましたが、自家栽培のホップの個性が生きた今回。自分たちなりには納得の出来なのですが、今回は賛否両論いただきました。
「履歴書に書きたいくらい好きなビールです」
なんて、お言葉をいただく一方で、
「去年の方が、バランスが良かった」とか、「今年の方が固い感じがする」
といったご意見もいただきました。
僕らの好みと、リアルエールとして望まれるものとの間にずれがあるのかもしれません。
難しいですが、いただいたご意見もふくめて、これからのビールづくりに生かしていきたいと思っています。
勉強、勉強。
02/14/2010(Sun)
ヤキマと長野

もしかしたら、「ゆるブル」はじまって以来、初めて写真なしの記事かもしれませんが、これは、アメリカ最大のホップ産地、ワシントン州ヤキマの気温を長野とくらべたもの。
新しいホップ畑に、どの品種を育てようかと検討していて、データを見つけたのでつくってみました。
「長野」とある方は、玉村本店のある山ノ内町の月別データが見つからなかったので、気象庁による長野市のもの。
くらべてみて驚いたのですが、ホップを育てる4-9月くらいの間の最高気温の推移はそっくり。夏の平均気温は長野の方が高いのですが、これは最低気温の違いが効いているようです。
でも、長野市よりも標高で300mくらい高いうちのあたりは、体感的には、最高気温は長野市とそれほどかわらないけど、朝晩はだいぶ低い印象ですので、このグラフ以上にヤキマとの温度差は小さいと思います。
とはいえ、やや気温的にはヤキマよりも高い分、品種の育ち方、収穫の時期に違いがあるのかなあと、あれこれ考えながら、どの品種でいくべきか、考えているのです。
もちろん、どんなビールにどういう風に使いたいかという点が、一番大事ではあるのですが。
02/13/2010(Sat)
今年も Not So Mild Ale でいきます!

早いもので、この写真からもう一年以上経ちました。
2/14(日)は、東京リアルエールフェティバル。
去年初めて参加したこのイベントですが、その際に Kjetilさんと一緒につくったのが Not So Mild Ale。
リアルエールというものを正しく理解しているかどうかわかっていなかったのですが、単に通常の定番のリアルエール「版」とかをつくるのではなく、どうせなら一から、ぼくらなりの「リアルエール」に挑戦しようということでつくりました。
それから一年。
相変わらず、リアルエールとは何たるものか、わかったかどうか自信はないのですが、一つ確かなことが。
それは、ぼくらも、このビールを飲んだ多くの志賀高原ビール好きのみなさんも、Not So Mild Ale が、思いのほか(!?)好きだということ。
今年はどうしようと考えたのですが、あれこれ食い散らかすよりも、この大好きなビールをより完成させてみようということで、あまり迷わずに、また Not So Mild Ale を仕込むことに決めました。
「なんだまたか」と思う方も多いでしょうが、ぼくらはそんなに器用じゃないですし、まだ「リアルエール」というものを勉強中ですので、ご勘弁を。
昨夏の Harvest Brew に続いて三回目の今回。
今までとの違いは、アロマホップに、いつものアマリロとともに自家栽培のカスケードをたっぷりつかったということ。
「『マイルド』にアメリカンホップなんて」と正統派リアルエール飲みのみなさんには叱られそうですが、すごくぼくららしく仕上がったと思っています。
唯一の心配は、Not So Mild Ale のはずが、Not Mild Ale といわれやしいないか。
イベント参加のみなさん、見かけたらご感想よろしくお願いします!
02/12/2010(Fri)
Designed by タナカノリユキ

「山伏」のデザインをしてくれたのは、志賀高原ビールと同様、タナカノリユキさん。
志賀高原ビールの立ち上げにあたって、前の会社でお世話になったのに甘えて、ラベルから段ボールにいたるまでつくっていただいちゃいました。
今回、まさかもういちどお願いするわけにもいかないだろうなあと思いながらも、まずは話をしなくてはということで、忙しいスケジュールの合間に時間をもらってお会いしたのが秋。
山伏のコンセプトを説明すると、なんと、またもや快諾。
ものすごくうれしかったです。
現在も、誰でもが知っている大企業のクリエイティブを手がけるタナカさん。
「俺のクライアントは、S堂とSE社と玉村本店だ」
なんて笑いながらいわれて、恐縮しながらも、図々しくお願いしてしまいまいした。
その晩、飲みながらいろいろ話を聞いたのですが、CMでもありながら、東京都現代美術館で開催された「SPACE FOR YOUR FUTURE 」展での作品でもあり、今はオーストリアの美術館の常設展示作品になっている「100 ERIKAS」という作品の話が、すごく印象に残りました。メイキングの画像にも垣間みれる、相変わらずの、プロ意識。ものすごい仕事量、そして圧倒的なクオリティ...
そんなタナカさんがつくってくれた今回のラベル。
ものすごく気に入っています。
「日本オリジナルな味を目指す」
という山伏の志を、しっかり表現する、強くて、オリジナルで、和なデザインだと思います。
前もそうだったのですが、こんな素晴らしいものをつくっていただいたタナカさんに、ぼくらは充分なお礼ができていませんし、させてもらえません。
せめてぼくらができることをということで、中途半端な制約をすることなく、タナカさんが実現したいラベルを妥協なくつくってもらえるように心がけました。
あとは、ラベルの完成度に早く追いつけるように、ビールそのもののレベルをいっそう高めて、タナカさんの作品として恥ずかしくない内容にしないといけないと強く思っています。
まだ、ラベル負けしていると思いますが、非常に頑張り甲斐を感じています。
02/11/2010(Thu)
バレンタインに山伏 !?

遅ればせながら、山伏 壱 / saison one の Web 販売の準備が整いました。
世の中、バレンタイン商戦がもう終盤っていうのに、うちはすっかり蚊帳の外。
まあ、ハートマーク付き「チョコレートたかしくん」とか、うちらしくないでしょ。
ところで、おかげさまで saison one、好調です。
「うまい」という声をたくさんいただいて、ほっとしています。もうすでに、おかわりの注文をいただいたお店もあります。
ある人に、「山伏って、ギフトにもいいよね、バレンタインとか」といわれ、あっそうかと思いました。
普通の会社なら、最初からそんなことは考えていて、もっと早く準備するんでしょうが...
とにかく、土曜の朝くらいまでにご注文いただければ、(本州のかなりの場所では)バレンタインデーにも間に合うと思います。(といっても、まさに「泥縄」とか「付け焼き刃」とかいうやつで、ギフトラッピングとかできないのですが、ご容赦下さい。)
まあ、そんなのに関係なく、たくさんのみなさんにお飲みいただければうれしいです。
ご意見、ご感想、お待ちしています。
玉村本店のHPはこちら。
02/10/2010(Wed)
元BUAISO君、取材を受けるの巻。

山伏の話は一休み。
今日は元BUAISO君が主役です。
先日、平成24年に開催される長野技能五輪・アビリンピック2012大会に向けたキャンペーンサイトの取材を受けました。
「長野発で、全国でたたえられる製品」をつくる若手を取り上げるということで、なんと玉村本店に声がかかりました。(なんか恐縮です。)
ビール醸造にかかわる若手ということで、選ばれたのが元BUAISO君(というか、記事で本名でてますが)。
轟君とも一歳しか年は違わないのですが、まあ確かにぼくらの中では最年少です。
その記事がこちら↓
WAZAKAN 長野技能五輪・アビリンピック公式マガジン
仕込中の取材で、ぼくもあとからみたのですが、すごくいい記事になってると思います。動画の方も、是非見てやって下さい。
彼もインタビューで応えてますが、実際のビールづくりは、ほとんどが掃除だったりしますし、玉村本店みたいな小さな会社では、本当になにからなにまでやらなければなりません。
ですので、地味な仕事ばかりなのですが、これをみた若い人のうちのほんの何人かでもが、「いいなあ」「楽しそうだなあ」と感じてくれるとしたら、とてもうれしいです。
02/09/2010(Tue)
ボトルコンディション

Saison One は、シャンパンと同様に、瓶内で二次醗酵を行うボトルコンディションという方法を採用しています。
タンクでの最初の醗酵を終えたビールは、新しい酵母と少量の糖が加えられ瓶詰めされます。
瓶詰めを終えたビールは、再び酵母が活動する温度(20℃台)に保たれた部屋で数週間熟成されます。
この間に、酵母が瓶内で醗酵し、炭酸ガスがつくられるわけです。
その後、ボトルは再度低温での熟成を経て出荷出来る状態となります。
ちなみに、Saison One の原材料には、麦芽と美山錦、ホップの他に、糖類という表示がありますが、これはこの瓶内での二次醗酵の際に、酵母が活動のために加えられる分です。
多くのベルギーのビールでは、醸造の段階でも麦芽以外に砂糖を加えることも多いですが、Saison One ではボトルコンディション用以外の目的では、糖類は一切使っていません(そのかわりの役目を果たしているのが美山錦です)。

非常に手間のかかる方法でもあるのですが、ボトルの中で生きた酵母が活動することで、味に複雑さが加わると同時に、その後の熟成でのビールの変化が楽しめるということから、ベルギーやイギリスのビールなどでは一般的な手法です。
ベルギーのビールにインスパイアされてビールをつくるという、山伏プロジェクトでは、この手法は不可欠と判断し、いろいろ準備を重ねました。
世界的には一般的な手法だとはいえ、ピルスナータイプのビール中心に歴史を重ねてきた日本ではまだ先例も少なく、ビールの免許を管轄する税務署とのやりとりは、数ヶ月にも及びました。
冬の玉村本店でも、20℃以上での熟成をする恒温室を新たにつくりました。
ボトルも、高い圧力に耐えられるようにと、750mlのシャンパン用のものを採用。
王冠も専用なので、打栓機も新しいものが必要でした。
そしてなにより、全てのボトルが均一にかつ望ましい炭酸ガスのレベルにもっていけるようにする方法を検討、準備実験、そして本番。
瓶詰め後、瓶内の圧力をハラハラしながらモニターする日々が続きました。
こうして出来上がった一仕込目。
ガスのレベルは、まだまだ100%想定通りというわけではありませんが、きめ細かい泡がちゃんとついています。
最初の試飲では、ほっとするとともに感動しました。
今後の味の変化も、ちょっと不安でもあると同時に、とても楽しみです。
ボトルコンディションのビールは、文字通り酵母が生きているということで、常温で(といっても、もちろん冷暗所で)の長期の熟成にも耐えるといわれています。
ただ、なにぶん初めてで実績があるわけでもありませんので、要冷蔵でのお取り扱いを前提に、製造から3ヶ月を目処にお飲みいただきたいという、いままで通りの運用を、現時点での公式のお願いとしておきます。
今後、検証を重ねていきたいと思います。皆様のフィードバックも重要な情報です。味はもちろん、泡の状態も含め、ご意見、ご感想、お聞かせいただけるとうれしいです!
02/08/2010(Mon)
Yama-Bushi

ところで、なんで山伏か。
「ベルギーのビールにインスパイアされつつも、日本オリジナルな味を目指す」
と書きました。
ベルギーは、フランス、ドイツ、オランダという大国(とルクセンブルグ)に国境を接し、歴史的にもいろんな国に占領された経験をもち、現在でも複数の言語が話される国。
人口は約1,000万と、東京よりも少ないのですが、そこに120を越える醸造所があります。
地域ごと、醸造所ごとの多様性が豊かで、ランビックとよばれる自然醗酵で非常に酸味が特徴のものなどもふくめて、非常に個性的かつ魅力的なビールがたくさんあります。
ぼくは、どちらかというとワインの影響が強く感じられるフランスよりの地域のビールが好きです。
そんな個性的なベルギーのビールですが、「ベルギービール」と聞いて「修道院」「修道僧」を連想する人も多いのではないでしょう?
トラピストビールといわれる6つの修道院がつくるビールが有名ですが、他にも、アビイビールといわれる、修道院との契約により外部の醸造所がつくるものも多数あります。
今回のプロジェクトを、単なる今までの延長線上のものではなく、まったく新しいものとするうえで、どんな名前がいいかだいぶ考えました。
玉村本店のある志賀高原の麓は、昔から山と密接に暮らしてきています。
炭焼き、林業、そして現在の観光。
山の雪解け水のおかげで、農業も恵を受けています。もちろん、酒づくりも。
そんなぼくらのまわりでは、山への感謝や信仰は根強いものがあります。先日の千駄焼きもその一例です。
というわけで、
「ベルギーが修道僧なら、俺たちは山伏だ」
となったわけです。
山深いこの志賀高原の地で、厳しい修行により、修道僧にも負けない、ここならではのビールを目指します!?
もちろん、先ほども書いた通りベルギービールは、修道院ビールだけではなく、非常に多様なものですし、第一、セゾンは修道僧がつくっているわけでは全くありません。
まあ、ある意味ぼくらの志を表した、「洒落」みたいなものですから、厳しく突っ込まず、にやっと笑って暖かく見守ってやって下さい。
02/07/2010(Sun)
自家栽培ホップ100% + 美山錦

基本的には、昨日も書いた通り、
「セゾンが好きだから、自分でつくっちゃった」
ということではあるのですが、実はもうちょっと「想い」があります。
先日、「構想数年」と書いたのですが、ホップづくりをはじめて、自分たちのホップが出来るようになって以来、100%自家栽培ホップによるビールをつくりたいと思っていました。
すでに自家栽培のホップは、Harvest Brew シリーズはもちろん、定番の DPA や Miyama Blonde などに、タップリつかってきているのですが、あくまでもアロマホップとして、他のホップとの組み合わせています。
いつか、ビタリングという苦みづけの部分も含めて、オール自家栽培ホップビールをつくりたい。
そのために、どんなビールがいいのか、ずっと考えてきました。
たとえば、ピルスナーとか。
何年も考えるうちに、ホップたちも生長し、その特徴がすこしずつわかるようになってもきました。
で、いろいろ考え続けてたどり着いたのが、この Saison One なのです。
最初から最後まで、自分たちで育てた信州早生だけを、ふんだんにつかっています。
また、同時に、自家栽培の酒米 美山錦もつかって、爽快さも表現しています。
志賀高原の水も忘れてはいけません。
大好きなスタイルを、自分たちなりに解釈して、自分たちで一生懸命育てた原材料を最大限いかすことが、うちならでは、日本ならではのビールにつながることに期待を込めて、やっています。
農家でもある玉村本店の、日本版 Farmhouse Ale というわけです。
あっ、まだ書いてませんでしたが、価格は、1,200円(税込み)。
いつもお世話になっている酒屋さんなどで随時発売の予定です。(上記価格は、送料がかからない地元価格ですので、地元以外は、送料分を勘案しての価格設定になります。)
弊社HPの準備には、もう少し時間がかかりそうです。
それまでの間のご注文は、たいへんお手数ですが、下記メールアドレスにご連絡いただくか、その他の商品のご注文の際の備考欄等にてお願いいたします。送料、発送方法等は、その他の商品と同じですので、HPをご参照ください。
Mail:order@tamamura-honten.co.jp
02/06/2010(Sat)
Saison One

山伏 第一弾は、Saison One。
そう、セゾンです。
ぼくが大好きなビールと、このブログでも何度か書いています。
モントリオールでも、Moonlight Brewing の Brian を訪ねた時も、やはり一番気になりました。
このセゾン、ベルギーでもフランスにほど近い地方で、農家が農閑期につくったビールということで、Farmhouse Ale なんていわれるものの代表です。
でも、実はスタイルは醸造所によってまちまち。
僕が好きなのは、やはりセゾンをつくる醸造所の代表格でもあるBrasserie Dupontや、スペルトという小麦の一種をつかったSaison d'Epeautre というビールをつくる Brasserie Blaugies。
ベルギーというと、酵母由来の香りがメインで、ホップはあまり主張してはいけないイメージなのですが、デュポンのセゾンなんかは、しっかりホップが効いているというあたりもぼくが好きな理由かも知れません。
このセゾンに刺激を受けて、自分たちなりの解釈でつくったのが、Miyama Blonde であるのですが、今回は、その経験をベースに、大きく一歩進めてみました。
まず一番の違いは、酵母。
ぼくらは、醸造開始以来五年間にわたって、基本的に一つの酵母で全てのビールをつくってきました。
モルトやホップの香りや味わいをストレートに表現出来るように、酵母そのもののからの香りは極力排した、クリーンさが特徴な酵母です。
でも、今回の Saison One では、はじめて、それとはまったく違う酵母をつかっての醸造です。
セゾン独特の、フルーティーでありながらも、くどすぎず、ややスパイシーさの感じる香りが特徴。同時に、非常にドライで爽快な味わいもつくりだしてくれます。
この新しい酵母との付き合いは始まったばかり。わからないことだらけです。
不安いっぱいの最初の仕込であった今回、まずまずいい感じに仕上がったとは思っています。
でも、自分的には、まだまだ満足はいっていないのですが、それはこれからの「修行」の課題ということで...
ちょっと長くなりました。
またつづきます。
02/05/2010(Fri)
志賀高原ビールではありません。

これが、新製品です!
山伏 壱 / Saison One
なんじゃそりゃ、と思った方もいらっしゃると思いますが、これに関しては書くことがたくさんありますので、何回か続きます。どうぞ、おつきあい下さい。
まず、これ、志賀高原ビールではありません。
でも、もちろんビールです。
「山伏」というのは、ベルギーのビールにインスパイアされつつも、日本オリジナルな味を追求するプロジェクト。
その第一弾が、この Saison One というわけです。
もちろん、同じ玉村本店のビールなのですが、ホップが主張し、どちらかというとアメリカンのクラフトビールの影響の強い「志賀高原ビール」とはまったく別な取り組みだということを、はっきりさせる意味もあって、あえて名前も、ラベルも一からつくることにしました。
売れるかどうか、まったく自信はありませんが、一回かぎりの限定ビールではありません。その他の全ての定番ビールと同様、常により良い味を目指して、定番として進化していきたいと思っています。
新しいブランドを立ち上げるということで、ある意味、ビール醸造を始めたときにも通じる、緊張と期待を同時に感じています。
原則、このサイズ(750ml)のボトルのみの販売です。
つづきはまた明日。
02/04/2010(Thu)
新しい季節の始まりです!

立春の今日、恒例の上林不動尊の春のおまつり、千駄焼きの日でした。
また今年も仕込の最中で、火渡りは見損ねましたが、興味のあるかたはこちらをどうぞ。
まだまだ寒いですし、スキーシーズン真っ盛りですが、ある意味、今日が春のはじまりです。
ちょうどいいタイミングで、本日新しいビールのラベルが届きました。
醸造開始から五年が過ぎ、
ぼくらのビールづくりも、Season 2 に突入です。
ってのは、ちょっと大げさかもしれませんが、構想数年、実際の準備にほぼ一年をかけた新作ビールデビューです。
明日には、ご案内出来ると思います。
見てやって下さい。
02/03/2010(Wed)
不審なおっさん

この写真、自分でもなんで撮ったのか、説明しろと言われても出来ません。
シャッターを押して歩き出すと、デジタル一眼をぶらさげた若いカップルとすれ違いました。
何歩かして振り返ると、二人が不思議そうに上を向いてぼくの撮った方向にむかってカメラを構えています。
そうだよねえ。
わかんないよねえ。
02/02/2010(Tue)
修行がたりない...

玉村本店の最重要会議。
新作ビールの試飲です。
製品化間近のビールをみんなでテイスティング。
そのうちのひとつが、泡立ち、色合いの面で、ちょっと今までと違います。
一番厳しいのが、普段は、なんのビールを飲んだかも覚えていない親父(=社長)。
ぼくも、本当は厳しくないといけないのに、自分でつくったせいもあって、判断がぶれるのです。
みんなで、いろいろ試して、結論が出ました。
最終的には、いまいちだったビールの原因もわかりました。
結果はよかったのですが、途中の判断で、自分の甘さを感じて大反省。
「つくり手のバイアス」っていうのでしょうか。
自分のつくったものが、よくないわけはない(というか、悪いと思いたくない)という気持ちに、判断が迷わされていた気がします。
やはりもっと自分に厳しくならないといけないと感じます。
同時に、思ったままを指摘してくれる仲間がいることに感謝した晩です。
02/01/2010(Mon)
ナノ

娘一号が、誕生日プレゼントにもらって、最近熱中しているのが、これ。
「ナノブロック」というもの。
単なるブロックなのですが、サイズが最小で4mmx4mmと、とにかく小さいのです。
現在は、「姫路城」を設計図にしたがって建設中。
12歳以上対象ということで、難しすぎたかと思ったのですが、大丈夫そうです。
というか、小さすぎて最近老眼をちょっと意識し始めたぼくらからすると、40歳未満とかという注意書きの方が必要じゃないかと思っちゃいます。
まあ、昔のプラモデル的でもあり、ある意味立体版ジグソーパズルのようでもあります。

こちらは、娘たち二人で、わいわいいいながらつくった自由演技。
写真だと小ささが伝わりませんが、子供の手にのるくらい。
最初にナノテクって言葉を聞いたとき、あんまりピントきませんでした。
「小さい」だけで、なにが違うのかと。
でも、単に小さいだけで、これだけ表現の幅もちがうことに驚かされて、ちょっと目から鱗ってやつです。
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