02/09/2010(Tue)
ボトルコンディション

Saison One は、シャンパンと同様に、瓶内で二次醗酵を行うボトルコンディションという方法を採用しています。
タンクでの最初の醗酵を終えたビールは、新しい酵母と少量の糖が加えられ瓶詰めされます。
瓶詰めを終えたビールは、再び酵母が活動する温度(20℃台)に保たれた部屋で数週間熟成されます。
この間に、酵母が瓶内で醗酵し、炭酸ガスがつくられるわけです。
その後、ボトルは再度低温での熟成を経て出荷出来る状態となります。
ちなみに、Saison One の原材料には、麦芽と美山錦、ホップの他に、糖類という表示がありますが、これはこの瓶内での二次醗酵の際に、酵母が活動のために加えられる分です。
多くのベルギーのビールでは、醸造の段階でも麦芽以外に砂糖を加えることも多いですが、Saison One ではボトルコンディション用以外の目的では、糖類は一切使っていません(そのかわりの役目を果たしているのが美山錦です)。

非常に手間のかかる方法でもあるのですが、ボトルの中で生きた酵母が活動することで、味に複雑さが加わると同時に、その後の熟成でのビールの変化が楽しめるということから、ベルギーやイギリスのビールなどでは一般的な手法です。
ベルギーのビールにインスパイアされてビールをつくるという、山伏プロジェクトでは、この手法は不可欠と判断し、いろいろ準備を重ねました。
世界的には一般的な手法だとはいえ、ピルスナータイプのビール中心に歴史を重ねてきた日本ではまだ先例も少なく、ビールの免許を管轄する税務署とのやりとりは、数ヶ月にも及びました。
冬の玉村本店でも、20℃以上での熟成をする恒温室を新たにつくりました。
ボトルも、高い圧力に耐えられるようにと、750mlのシャンパン用のものを採用。
王冠も専用なので、打栓機も新しいものが必要でした。
そしてなにより、全てのボトルが均一にかつ望ましい炭酸ガスのレベルにもっていけるようにする方法を検討、準備実験、そして本番。
瓶詰め後、瓶内の圧力をハラハラしながらモニターする日々が続きました。
こうして出来上がった一仕込目。
ガスのレベルは、まだまだ100%想定通りというわけではありませんが、きめ細かい泡がちゃんとついています。
最初の試飲では、ほっとするとともに感動しました。
今後の味の変化も、ちょっと不安でもあると同時に、とても楽しみです。
ボトルコンディションのビールは、文字通り酵母が生きているということで、常温で(といっても、もちろん冷暗所で)の長期の熟成にも耐えるといわれています。
ただ、なにぶん初めてで実績があるわけでもありませんので、要冷蔵でのお取り扱いを前提に、製造から3ヶ月を目処にお飲みいただきたいという、いままで通りの運用を、現時点での公式のお願いとしておきます。
今後、検証を重ねていきたいと思います。皆様のフィードバックも重要な情報です。味はもちろん、泡の状態も含め、ご意見、ご感想、お聞かせいただけるとうれしいです!
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comments
どうもありがとうございます!
実は「ワインを楽しむように」ときいてうれしいです。
ワインのように食中酒として楽しんでいただきたいと思っていますし、「ワインは好きだけど、びーるはそれほど」ってかたにもお飲みいただきたいもので。
これからもよろしくお願いします。
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