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「鑑評会の酒」に感じたこと


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去年に続き、先週、池袋で開催された公開きき酒会に杜氏と二人でいってきました。

今年の全国新酒鑑評会の入賞酒がすべて集められています。全部で500に近い酒のうち、北から南まで、多分300超の出品酒を、順番にききました。(もちろん全部飲んだらからだがもちませんので、口に含んで味、香りを感じたら、所定の容器に吐き出します。)

僕らは、メモとかとらずに、どんどん進んでいくのですが、時々気になった酒(いい意味でも悪い意味でも)があると、お互いの感想を確認します。いつもそうなのですが、杜氏がどう感じたかを聞くことで、僕もとても勉強になります。過去に何度も同様なことをしてきたこともあって、結構、感じるところも似てきているような気がします。

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去年にくらべていくつか感じたことがあります。

ひとつは、米です。相変わらず、鑑評会の定番「山田錦」が圧倒的ではあるのですが、それ以外の米での出品・受賞が確実に増えてきています。縁喜も金紋錦をつかったわけですが、各県のいろいろな米で醸された酒は、それぞれの個性があって、いわゆる「鑑評会タイプの酒」が、延々と続いた以前にくらべて、楽しみが増えた気がします。「ひとごこち」の受賞酒も印象に残りました。これも、いいヒントです。

もう一つは、審査の傾向です。相変わらず、「香り」は重視されていると感じるのですが、酒のタイプに変化があるような気がします。もちろん、口に引き込んだ時の柔らかさとか、味のきれいさ、香りとのバランスといった基本的な部分はいっしょなのですが、香りの質とか、バランスに変化があるような気がします。

確信を持って言えないのですが,やはり審査にも、その時代の気分が反映されているのかなあと思います。個人的には、香り偏重ではなく、飲んで美味しい酒が(当たり前なのですが)増えてきたような気がしたのが、ちょっとうれしかったです。

うちの酒ですが、正直、そうそうたる顔ぶれの中に入っても、結構良かったです。手前味噌っていわれるに決まっていますが、今年は例年以上の柔らかさがあります。香り的には、むしろおとなしい方かもしれませんが、縁喜らしいしっかりとした味わいもあって、今後の熟成も期待させます。

いつも書いている通り、鑑評会のために酒をつくっているわけではないですし、新酒鑑評会で評価される酒だけがいいとも思っていません。でも、今回は、自分達の技術の水準を確認すると同時に、出品・評価される酒に、画一的な酒に収斂するのではなく、むしろ米による個性の多様化や、「飲める酒」への流れが感じられたのが、収穫だったと思っています。
23:59 | 縁喜 | comments (0) | trackbacks (0) | edit | page top↑
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