12/14/2018(Fri)
木樽をつかう理由

ビールづくりには、徹底的に清潔さにこだわり、様々な段階の温度管理を最適化していくという基本が大切です。その基本をもとに、厳選された原材料の個性を生かすことで、いろんなビールをつくるわけですが、通常のビールづくりでは、野生酵母とか、そのほかの微生物は、「汚染」と紙一重だったりすることで、あってはならない要素です。
一方で、昨日もちょっと書きましたが、通常のビール酵母には分解できない糖分があり、その残った甘みが、ビールの魅力でもあると同時に、時に食中酒としては邪魔になったりもします。
その甘みをできるだけ少なくする醸造法をとったり、ホップの苦味とのバランスとで甘みを感じづらく、爽快な仕上がりするという方法もありますが、野生酵母や、微生物の働きは、その残糖を分解できるということで、根本的に違うアプローチであるのです。
また、通常、酸化はビールの大敵なのですが、野生酵母などは酸素を必要だったりもするので、木樽でのゆるやかな酸化状態がのぞましかったりもします。
一方で、野生酵母や、微生物の働きをコントロールするのは簡単ではありませんし、そうした微生物の種類も数えきれないくらいです。でも、「完全にコントロールできない」ということは、裏返せば自分たちだけでは実現できないような味が生まれるかもしれないという「ロマン」を感じることにもつながるのです!複数の微生物の働きで、単一の酵母による発酵にくらべて、より複雑な味わいが実現したり。
さすがに、完全に微生物まかせの出たとこ勝負というわけにはいきませんので、いろんな試行錯誤をくりかえして自分たちがイメージする味わいを目指しています。
通常のビールづくりでは、徹底した衛生管理が欠かせないと書きました。ぼくらも、こうした野生酵母や、微生物の力を借りた実験の場と、通常の志賀高原ビールの醸造の場所は、完全に分離しています。これは、複合汚染を防ぐため。そのぶん、場所や機材等、たくさんの余計なコストがかかってしまうのですが、こればかりは仕方ありません。
写真の二種類のビールは、来週、第一弾としてリリースする、最初の木樽熟成山伏です。
お飲みいただいて、
「ん、これビール?」
って思う人がほとんどかと思います。
それが、
「うまい!」
に、すぐつながるのか、とても不安ではありますが、ぼくらはそうであることを祈ってます!
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