06/06/2020(Sat)
はじめて、ビールを捨てました。

はじめてビールを捨てました。
1702仕込み目。
新作の IPA でした。
いいビールをつくるためには、
「捨てる勇気を持たないと駄目だ!」
なんて、よく言われます。
でも、ぼくは、それにずーっと抵抗してきました。
納得のいかないビールをつくらないように、
- 徹底的に考えて準備する
- 衛生管理を、とにかく完璧に
- それでも起こる問題救済の手段を考えやり尽くす
時には九死に一生を得ながらも、16年間、1701仕込みをしてきたのですが...
途中まで、絶好調だった新作が、最終段階にさしかかったくらいで突然納得いかない味に。
「そんなはずはない」
「もう少し待てば大丈夫」
と、自分を納得させようとしたのですが、どうにも違うのです。
それでも、
「これはこれでありか」
と、したくなる自分がいたりもします。
でも、どうしてもおかしい。
何度飲んでも、だめなんです。
一緒にビールをつくる仲間の妥協しない態度にも助けられました。
本当にいろいろ考え、分析、点検を繰り返した結果、原因がわかりました。
嘘みたいにシンプルな、でもそれだけに恐ろしい機材トラブルでした。
ブレンドしてごまかすことも出来なくなかったかもしれませんが、それじゃダメなのです。
というわけで、今回の決断にいたりました。
「ビールなんかつくるもんじゃない」
って、思うのは、こういう時です。
ビールを捨てるっていうのは、もちろん、原材料と労力と時間が勿体無いわけですが、それだけではありません。
つくったビールは、すべて酒税の対象。
「捨てた」と嘘をいって、税金を誤魔化さないようにと税務署に連絡します。
で、この写真の瞬間を迎えたわけです。
悲しかった。
でも、納得のいかない味になった原因がわかってよかった。
じゃなきゃ、「イップス」みたいになったかも。
このビールを捨てた日、同じビールを仕込みました。
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