09/22/2008(Mon)
コメ

事故米が不正に流通していた問題で、今日、製品の自主回収をした焼酎会社の一面広告が新聞にでていました。
当事者ではないので、なにがおこったのか本当のところはよくわからないわけですが、ひどい事件だなあと思いながら読んでいた文章で、びっくりした点が。
それは、芋焼酎につかわれているという米の価格です。文中には、一般的につかわれているという「組合米」なるものの価格が1kgあたり80-85円。今回問題になった米も1kgあたり73円~100円前後なので、そんなに安いわけではないとのことです。
えっ、と思いました。1kgで80円 ということは、一俵(=60kg)で4,800円。僕らが日本酒づくりにつかう酒造好適米は、一俵あたり2万円前後、高いものは3万円にも近い価格ですし、その他の一般米でも、1万円をくだることはありません。これは玄米での価格で、それをさらにだいぶ精米して使うわけです。
ですので、焼酎に使われる米の「一般的」価格がこんなに安いと知って、びっくりしたわけです。(ちなみに、別の話ですが、当該焼酎を紹介するWeb等のページで、麹米には、「国産米を使用」という表記を何度か目にしたのも気になります。)
ぼくは焼酎の製法をよく知っているわけではないので、きっと芋焼酎の麹に使われる米の量って多くないんだろうなと思ったものの、気になったので調べてみました。すると、麹の比率はどうも一般的には20%前後、芋の使用比率が高いとうたっているものでも、16-7%のようです。
つまり、芋焼酎の2割くらいは米でつくられているということ。
焼酎づくりに使われる麹は、黄麹、白麹、黒麹とあって、それぞれの個性が味を左右するとは、よく聞く話です。先日、ある方の講演で、「焼酎は黄麹、白麹、黒麹というわかりやすいアピールができているのにくらべて、日本酒はわかりづらくてダメだ」という話を聞かされ、うれしくない思いをしたのですが、その「売り」である麹に使われ、原料の約2割をしめる「米」の品質の重要度とは、いったいどのくらいなのでしょうか。
同じ、米で酒をつくるものとして、考えさせられました。
誤解のないようにしたいのですが、僕は決して芋焼酎に文句があるわけではありませんし、むしろ、時にはおいしく飲んでいます。醸造と蒸留、酒の生まれてきた歴史や風土も違うのですから、違いがあっても当然ですし、無駄に高級な原料をつかう必要もないと思います。
と、ここまで書いてきて、今回の問題で日本酒メーカーの名前もでたのが気になって、少し調べました。「国産」という偽の産地証明書があったという報道もありますが、「仕入れのときは1ミリ程度に細かく砕かれた「破砕米」と呼ばれる状態」だったとの記事もあります。
こうみてみると焼酎だけの話じゃないですね、やっぱり。でも、すくなくても玉村本店では、「破砕米」なるものは一切使わないですし、(大手メーカーでは事情がちがうのかもしれませんが)一般的/伝統的に日本酒の醸造につかわれる米じゃないと思うのです。
別に技術革新がダメだというつもりはありませんし、結局飲んでうまいかどうかです。でも、誤解を生むようなことはダメだと思います。
結局、日本酒にしろ焼酎にしろ、つくり手の姿勢と、それを正しく伝えるというあたりまえのことが、重要なんでしょうね。
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